カタチのないセカイの為に
優潤が、辺りを見回す。
「何も無いからか?寂しい部屋だな。」
「うん。でも、前は、素敵だったんでしょ。」
優潤が、眼を少し大きく広げた。
「そう思う?」
「うん。だって、お庭が素敵だから。
きっと、この部屋も素敵だったんだろうなぁ。」
美咲は、
頭の中に家具の置いてあるこの部屋を
創造するように、話している。
「庭を素敵だって、母さんに言っておくよ。」
優潤は、嬉しい気持ちになった。
美咲に傷の手当てを出来た事も、嬉しい。
だって、俺が石積みに落ちた時に、
みさちゃんがやってくれた事だったから…。
ずっと、探してた。
ずっと、みさちゃんを探してた。
ずっと、今は、目の前に居る。
美咲を探してたんだよ。
そして、今日から、俺の彼女になった。
ずっと願っていた事が、現実に近づいていく。
優潤の真剣な眼差し。
「美咲。」
名前を呼ぶ声。
急に、優しい笑顔になった。
「美咲…。 ありがとな……」