カタチのないセカイの為に
時が止まっている間に、美咲の隣の人が
緊張しているかの様な、
しかし、はっきりした口調で話し始めた。

「突然来ちゃって、ごめん。。。
どうしても、君と友達になりたかったんだよ。
それに、俺達同じ学校だし…。
お隣のクラスだから、よろしくね。」

『え?』
と言ったような、驚いた顔で美咲の眼は真ん丸くなった。

彼は、少し寂しそうな瞳を浮かべると直ぐに
『にっこり』と表情を換え、自己紹介を始めた。

「僕は、優潤。
穂坂優潤(ほさかゆうじゅん)。
彼は、関根健吾(せきねけんご)」

時が止まっていた美咲が、現実に戻される。吊られて、美咲もゆっくりと自己紹介を始めた。
「わたしは…。江藤美咲。」

彼は、
「うん。知ってる。」

と、嬉しそうに応えた。

彼は、『高校生になった美咲』と、初めて普通にはなしができた事が、何より嬉しくて…。


微笑した顔が戻らず、
それが恥ずかしくて…。
いつもより、うつむき加減に、またご飯を食べ始めた。


彼女も、何も言わずご飯を食べ始めた。



健吾は、安心したかのように、
しかし、周りには気付かれないように
『はぁー』
と、長い溜息をついた。

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