カタチのないセカイの為に
翌日───

「美咲ぁ。美咲の荷物積んだ?」
優潤が、尋ねる。

「うん!」
美咲は、応えると別荘を見上げた。


凄く、楽しかった。場所。


本当は、バイトが終わってから、
優潤達が、理子の別荘に来ていた日。


良い気はしなかった。

男の人達と、一緒に居たくなかったから。



でも、一緒に数学の宿題をした時から、

気になっていたんだと思う。



『優しかったから…』






管理人夫婦に見送られて、
別荘を離れた。



送る道順は、一番初めに美咲の家に着く。


良く知っている町並みに戻ってきた。

しばらく、優潤と離れちゃうかと思うと、
少し、寂しかった。


車を降りる前に、優潤が言った。
「またね。」

たった一言の言葉が、
寂しさを少し和らげてくれた。



理子が、
「荷物置いてからいくね。」
と言うと、車が動き出した。


理子は、今日から美咲の家に泊まるのだ。


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