カタチのないセカイの為に
それを見た、理子が慌てて止めた。
「私、作るから…。座ってて。
腕、痛いでしょ。」
「あー。ごめん。」
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
美咲は、理子の剥いたジャガイモを見た。
『あれ?何か変…。』
理子は、まな板にジャガイモを置いて、
皮を剥いている…。
剥いているというより、皮をカットしている…。
「り。理子?料理した事ある?」
おそるおそる美咲が聞く。
「料理?あるわよ。
家庭科の授業で、プリン作ったしゃない。」
理子は、自慢そうに言う。
美咲は思い出した。
確か…。あれは、焼いても固まらない
不思議なプリンが出来上がった。
そして、驚くほど不味かった…。
家庭科で、ハンバーグを作った時も、
ニンジンのみじん切りが出来なくて、
ニンジンだけが、カレーに入っている大きさや妙な形で…。
妙なハンバーグが完成してた…。
忘れていた……
料理は……
私の知っている理子の中の
唯一の弱点だった事…。
このままでは、私の胃袋が壊れる…。
そう判断すると、
「助っ人呼ばない?」
と美咲は言った。