カタチのないセカイの為に

『ピンポーン。』


優潤が来た。



する事の無い、美咲と理子は、

玄関へ、お出迎えに行く。



優潤は、スーパー袋を提げていた。



「優潤、カレー作れる?」
美咲が聞く。

「うん。よく作ってるよ。
一度、作ると長持ちするから。」
優潤が応えた。


美咲も理子も、安心する。




優潤がリビングに入ると、
健吾はジャガイモの皮を丁寧に剥いている。


優潤は、手を洗って直ぐに健吾の
助っ人に入った。

「俺、何すればいい?」


健吾は、
「カレーの作り方、教えろ。」
と言った。



健吾もまた、必死だった。

彼女達の努力の成果を目の当たりにして、
『座ってな。』しか、言えなかったのだ。


優潤は、大きさの揃っていない
無様なニンジンを指で掴んだ。

「健吾…。
ニンジンには皮があるんだぞ。」


「そうなのか? 知らなかった。」

健吾の応えるのと同時に、美咲も驚いた。

「知らなかった。そうなの?」

美咲は眼をパチクリして、優潤を観る。
優潤は、首を傾げた。


すると、美咲の顔は、直ぐに赤くなった。



「ごめん。それ、私がやったの。」


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