カタチのないセカイの為に
美咲が立ち上がって、電話に出る。

「はい。江藤です。」


電話は、数菜さんからだった。

『美咲ちゃん!メール読んだわよぅー。
男の人が料理しに来たって、何?』

オネエ言葉の数菜さん。


「手を怪我しちゃってね。
材料を買ったんだけど、作れなくて…。」

『それじゃないわ!!
男友達が出来たの?』

美咲は、彼氏が出来た…。



でも、何と無く言いにくいので、
「うん。」
と、だけ 肯いた。



電話の奥から、お母さんの声が聴こえた。

『早くぅー。まだー。早く変わってよう。』

『まだ、駄目ー。パパが先ー。』

相変わらず、仲良しのお母さんと数菜さん。



『パパはね。美咲ちゃんに男友達が出来て、
嬉しいよ。』

そう言われて、何故か安心した。
それから、嬉しかった。


数菜さんは、
いつも私の事を考えてくれている…。



すると、数菜さんは、
急に男の人の低い声になった。


『でもな…。
家に男を呼ぶな。ママが泣く。』


そう言うと数菜さんは、
お母さんに電話を替わった。



私は、返す言葉がなかった。
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