カタチのないセカイの為に
健吾が、優潤の居る部屋に戻ってくると、
「今、来るってさ」
と聞えていた事を教えてくれた。
優潤が、健吾に抱きついた。
「お前、いい奴だな。
友達になってくれて、ありがとう。」
優潤は、真剣に言ったつもりなのに、
健吾は、笑いながら、
「俺も、愛してるよー」
と、抱きしめ返された。
優潤は、健吾から離れようと、
必死で、押し退けようとする。
「キモイ。離れろ。
俺、悪かった。ごめん。謝る。」
適当な言葉で、
離れてくれと訴える。
でも、優潤も笑顔だった。
こんなふざけた事出来るのも、
健吾だけだなと、嬉しく感じた。
ドタバタと、階段の下りる音が聞えたから、
優潤は、気を取り直して、
健吾と玄関に向かった。