カタチのないセカイの為に
美咲は、こんな事が有ると、
一週間位前は、悲鳴を上げていたのに、
今は、叫ばなくなった。




それは、俺だけの特権の様な気がした。


凄く、嬉しい。




でも、美咲が

「く、 くちが、近い。」

って言うから、



少し離れる為に、

美咲の肩に額を置いた。

「僕、初プリクラで、
舞い上がっているのかも。嬉しいや。」


「まだ取ってないよ。」
美咲が笑う。


「うん。でも何か嬉しい。」

俺は、美咲を包み込むように、

両腕で、
後ろから抱きしめた。




フレームは、時間が無くなって
結局、
フレーム無しになった様だ。




機械音声が、
プリクラを撮ることを教えてくれた。

俺は、美咲を抱きしめたままで
慌てて画面を見た。


『カシャ。』



カメラの音にビックリする。

「何これ。今のプリクラになるの?」



取るって言われて、前を向いたら、

直ぐに取られたから、


美咲を抱きしめたままの一枚が
完成した。

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