カタチのないセカイの為に
家のドアが開いた。

「ただいまー。」


誰?まだ優潤と、抱き合って居たいよ。


もう少しだけ…


もう少しだけ…。


女の人の声。

理子のじゃない。


この声、知ってる。

「お母さん!?」


美咲は、母だと気付くと、
優潤と顔を見合わせた。


だって、帰って来るのは、明後日のはず…。

何で?

何で?


優潤…。
もっと、ここに居て欲しいのに…。
帰ってしまうの…。


『タ・タ・タ・タ・タ・・・』

廊下を歩く音が聞える。


抱き合っていた美咲と優潤は、
離れた。



二人の居たリビングに
母は入ってきた。


「鍵が開いていたから、無用心だと思ったら、
美咲ちゃん、居るじゃない。」


「はい。」
ビックリして、見開いた目で母を見た。



私は、優潤の一歩前に出て、

体が離れれても、

まだ、
繋がっている手を自分の体で隠した。
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