カタチのないセカイの為に
三人は、レジャーシートの上に
腰を下ろした。


「うわぁ。綺麗……」
理子が呟いた。
二人も、とっさに夜空を見上げた。

美咲が、夜空に手をぐっと伸ばした。
「つかめそうだね。」
手を必死でグー、パー、グー、パー、している。
優潤は、そんな美咲を観ながら微笑んだ。


花火をつかむ事を諦めた美咲の手は、
足を伸ばして、体の後ろで体重を支えていた優潤の手の横に並べられた。

美咲と優潤の指が少しだけ重なった。
優潤は、
とっさに赤くなって、慌てた。
「ごめ…」
ごめんと言ってずらそうと思ったが、
彼女は、気付いていなかった。

彼女が気付いたら、直ぐに手を退かせれてしまうだろう。
だから、僕は言い掛けた言葉を止めた。

僕の指が、重なった事にも気付かないくらい、彼女は僕の事を何とも思われていない……。


優潤は、ドキドキしながらも、
悲しいんだか嬉しいんだか、複雑な気持ちになった。

ドキドキした鼓動を、花火が音が消してくれた。だから、気付いていないかのように、
そのままにした。

重なった指は熱かった。

彼の顔は、真っ赤になっていたが、
周りは暗くて、誰も気付かなかった。

ただ、花火だけが明るく輝いていた。





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