カタチのないセカイの為に

美咲ママは、
タイから掛けた国際電話を思い出した。

「この間の、国際電話。

あなたが電話に出た時は、驚いたわよ。
藍泉学院に入れて正解だったわ。」


優潤が笑いながら言う。

「小等部に、美咲が居なかったから、
中等部は、
外部に行こうと思っていたんですよ。

高等部の入学者名簿見て、
ビックリしたんですからね。」



美咲ママも、笑った。
「そんなに、美咲ちゃんが好きなの?」


「当たり前じゃないですか。
あ。電話で言った事、
まだ美咲に言っちゃダメですよ。」


「昔、良く遊んでいた事かしら?
何で隠しているの?」
不思議そうに、美咲ママが聞く。



優潤は、
犬小屋を組み立てていた手を止めて、
真剣な顔つきで小声で話した。

「最初は、別荘に行けば
思い出すかと思ってたんですけど…。

一向に思い出す兆しが見えないんで、
言うの、恥ずかしくなっちゃったんですよ。」

優潤は、応え終わると、


また、犬小屋を組み立て始める。



美咲ママは、ニヤリとしながら言う。

「それだけぇ?」




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