カタチのないセカイの為に
「美咲ちゃーん。」
美咲ママが、玄関から、声を張り上げて叫ぶ。
「りぃちゃんも、健吾君も来てー。」
二階から、階段を下りて、下へ向かう。
玄関の前には、小さな子犬が居た。
美咲が、玄関に向かって走り出した。
「あ。ファンタだ!!」
美咲が叫んだ。
理子は、笑いを堪えきれず、
声を出して笑ってしまった。
健吾は、理子に、
「ファンタってなんだ?」
と聞く。
「美咲が幼少の時に飼っていた、犬よ。
確か、種類はあの子犬と同じパピヨンよ。」
「ファンタってジュースじゃないんだから…。」
そう言う健吾に、
理子は教えてあげた。
「大好きな、ジュースから、命名したのよ。」
「マジかよ。ハハハハ……」
健吾が、笑った。