カタチのないセカイの為に
「あの人、いったいなんなの。
1週間も、店に来ては、ニヤニヤして、ボーとして…。
本当に変な人だよ。
あんな変わり者が、うちの学校に…、
しかも、隣のクラスに居たなんて、全く気付かなかったわよ。
周り観なさ過ぎだったかなぁ。 ふぅ。」
チョット自己嫌悪に陥った。
悪い人じゃないし、どちらかと言うといい人だよね。バイトも手伝ってくれたし、一緒に皿洗いもしてくれたからなぁ…。
良い方向に、考えてみた。
理子も、何かあったら追い返すって言っていたし、大丈夫だよね。
その頃、リビングでは───
「あなたねぇ。来るなら来るって言いなさいよ。突然来られても困るのよ!」
「忠君には今日言ったよ。」
理子がジロッと、忠君のほうを見る。
『言い忘れていました。すみません。』と言っているように、忠君は顔を俯ける。
理子は、呆れ顔をした。
「ダイタイ、あなたの家の別荘だって近くに在るじゃない。何で、ここにくるのよ。」
「いゃー。夏休み前の予定では、その予定だったんだけど…。」
健吾が、言いかけた優潤の続きを話し出した。
「こいつのところの別荘さぁ。
4月に立替が決まったんだ。
それを綺麗スッキリ忘れてたんだぜ…。
しかも、俺好みの別荘に立て替えるーって
そりゃぁもう、めちゃくちゃ張り切ってたくせに…。
今は、住めなくなっちゃってる事も忘れてたんだぜ。」
コツっと優潤の頭を、叩いた。