カタチのないセカイの為に
理子は、『ハーー』っと長い溜息をつくと、
「これ貸しよ。」と告げた。
「うん。理子、ありがとう。」
優潤は、とても嬉しそうな笑顔を浮かべた。
三人は、部屋割りを決めていた。
『ガチャ』
扉のドアが開いた。
「お風呂ありがとう。」
理子が部屋に入ってきた。
優潤が固まった。
いつも結んでいる髪の毛が、お風呂上りで降りているではないか。
優潤は、彼女に見惚れていた。
いや、いつも見惚れていれるが、更に見惚れていて、眼が離せなかった。
そんな目線には気付かず、
美咲が、優潤の前に腰を掛けた。
ふぁっとした髪の毛から、いいにおいが漂ってきた。
理子と健吾は、『ニヤニヤッ』としながら優潤をみていた。
優潤は二人の目線に気付いた。
「な・なんだよ。」
「お前、本当におかしなやつだな。」
「ほっとけ」
優潤は、テーブルに頬を付けて皆とは逆側を向いて伏せた。
健吾も、理子も、笑っていた。
美咲は、何がそんなに楽しいのか解らずに、
「どうしたの?」
と聞いてみたけど、
「なんでもないわ。」
と言われてしまい、
何が楽しいのか解らなかった。