カタチのないセカイの為に
理子が、考え事をしているように呟いた。
「私も、自由課題だけ残っちゃったのよねぇ。
何にするのか、決めるのが大変よね…。」

みんな早く終わらせている事に気付いて、優潤は焦った。

「美咲は何にしたの?」
健吾の言葉に、優潤が『ギラ』と、睨みつけた。どうやら、呼び捨てにしたのが気に入らないらしい…

しかし、健吾はあえて言い直さなかった。
まだ、旅行期間が残っているので、
メンドクサイ…。
呼びやすい名前でいいじゃないか。
と、マイペースに考えていた。

「私は、読書感想文…。まだ書いてないけど、本はもう直ぐ読み終わるから。」
「定番だな。」
「思いつかなくて…」

理子が『定番』という言葉に何かを思いついたかのように『はっ』とした顔をした。
「じゃぁ。私は絵を描くことにする。
絵の具はどこかにあるはずだし、明日、紙だけ買いに行けば、いいわ。」

「乗った!俺もそれにする!!」




お昼ごはんを食べ終わると、理子と健吾は、紙を買いに出かけた。
この辺りは、別荘地になっているので、近くに一軒、コンビニがあるが、画用紙が売っているのは、少し遠いい文房具やになるので、忠君が車を出した。



美咲は読書を、
優潤は数学の宿題をしていた。

美咲が本から、優潤の方に視線をずらし、何をしているのか探った。


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