カタチのないセカイの為に


「数学?」



「う~ん。」
計算をしながら、応える。

「終わったら写させて。」

「う~ん…。
ダメ。」
「解らないんだもん。」
美咲は、沈んだ顔をした。



彼女達が通う高校は、エスカレーター式の学校で、受験はかなりの難関だった。
しかし、中等部から上がってきた生徒は、中学三年の終わりには、既に高校生の授業内容に入っていたので、授業に着いていくのがやっとだった。

優潤、理子、健吾は、中等部から上がってきた。
この中では美咲だけが、外部入学だった。



「答えだけ見て、解き方解らなかったら、やる意味がないじゃん。

わからないなら、一緒にやろうよ。」

彼は、出来るだけ優しく言った…
つもりだった。


美咲は、スクッと立ち上がると
無言で部屋を出て行ってしまった。

優しく言ったつもりだったが…
聞いている人がどう受け取るかは
受け取った本人しか解らない。


優潤は、宿題をする手を止めた。

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