カタチのないセカイの為に

「ひみつ。」


「なんなのよ。その言い方。
なんかムカツクー!!」
優潤は、そっぽをむいて口を尖らせた。
「だって、人に言うと、叶わないって言うじゃん。叶わないと、困るから…。」
「その態度も、ムカツクー!!」
優潤は、視線を戻すと、プンプン怒っている美咲を観て、微笑した。

「あ。私の顔見て笑った。何なのよ。もぅ!!」
優潤は、怒っていてもかわいいなぁ。と思いながら、美咲を観ていた。

「先、行くわよー。」
理子の声がした。
美咲は、怒っていたのを忘れたかのように、理子の方に方向を変えた。

「待って。今、行くー。」

優潤は、後ろを向いてしまった美咲が愛しくて、思わず、腕をギュッと掴んだ。
「待って。」

美咲は、振り返った。
優潤は、自分の行動に驚いていた。
後先を考えていない動きだった。
別に、言いたい事がある訳でも無い。
むしろ、必死で言いたい事を考えた。
美咲は掴まれた腕を見た。


「ギャー!! 触んないで!!」


美咲は叫んだ。

その声は、何処までも果てしなく響き渡る声だった。


帰り道、理子は美咲と前方を、健吾と優潤は後方から、
美咲と優潤の距離を取るように歩いていた。


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