カタチのないセカイの為に
今年の四月、彼女が入学してきた時は、既に、男の人に話しかけられると、『怒る人』になっていたので、初めて男の人が怖かったと言う事実を知った。

美咲は、思い出すように話し出した。
「去年ね。私のお母さんが数菜(かずな)さんと再婚したのよ。
それで、数菜さんが男の人と話しが出来るようにって、色んな人と合わせてくれたの。」

「数菜さん?」
理子は、不思議だった。

数菜さんって…確か…。

理子は、数菜さんの顔を必死で、思い浮かべた。
あれは、中間テスト勉強で、美咲の家に行った時。
美咲の部屋に、ジュースを持ってきてくれた。お姉さん……?

お姉さんと結婚?へ?

「数菜さんって、オカマでしょ。毎日パパのお店に連れて行かれて、オカマさん達に話しかけられて…。
そのうち、オカマさん達が訳のわからない事ばかり言うから、
私…怒り出しちゃっていたのよね。
それから、男の人が怖くて話しも出来ないくらいだったのに、やたらと怒り出すようになっちゃったの…。」

美咲は、口の端を吊り上げた。



理子は、頭の中の思考回路が動いているのか、動いていないのか、パニックになって
いる頭の中の整理を始めた。

えっと、数菜さんは、男で…。
美咲のパパになるのね。


理子は、眼を見開いた。
「え?????
数菜さんってオカマだったの?」
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