カタチのないセカイの為に
──今から2週間前───


夏休み目前のある日、放課後になったばかりの教室で美咲が、理子に告げた。

「夏って言ったら、海だよね。だから、海行にこう!!」

「え?何?いきなり???」

「夏だし夏っぽい事しようと思ってさぁ♪」

海は、久しく行ってないから、タマにはいいかな?と思った理子は、応えるように質問した。

「それなら、うちの別荘いく?使えるかどうか聞いてみようか?」

「うん!! うん!うん!!!」

行動の早い理子は、携帯電話を鞄から取り出し、早速電話を掛けている。

電話の最中で、理子は、携帯電話のマイクに手を当てた。

美咲は、目を見開いて理子に真剣な眼差しを送る。

まるで、ご飯を待っている猫の様にじっと見つめている。

理子は、少し微笑しながら言った。

「使っていいって。」

「やったぁー!!じゃぁ。今から図書室に行ってプラン考えよぅ!」

2人は、広い広い図書室の一角にあるコンピューターコーナーに行く為に、別館へ向かった。


そして、楽しい高校生初の旅行デビュープラン企画をし、その日のうちに『しおり』まで作り終えたのだった。




その夜、江藤家では近所迷惑な騒音が響いた。





< 6 / 248 >

この作品をシェア

pagetop