カタチのないセカイの為に
「うん。」
あれ?理子は、会ったことあるのに、知らなかったのかな?
「パパはいい人だよ。お母さんの事、大好きだし…。」
理子は、もう一度、頭の中を整理した。
確かめたいところを、ゆっくりとした口調で聞いてみた。
「えっと…
男嫌いじゃなくて…、怖いっの?」
「…うん。
でも、今はマシになってきたんだけど…。
パパがお店に連れて行ってくれなければ、今も男の人と話しが出来なかったと思う。
私さぁ。
数菜さんのことだって、女の人だと思っていたから、怖くなかったのよ。」
美咲は話し辛そうに、
しかし、淡々と話しをしていた。
逆に理子は、聞いてはいけない『複雑な家庭環境』と、『意外な恐怖』を
一気に聞いてしまった気がした。
数菜さんは、何処からどう見ても、
綺麗な女の人だった。
美咲は、話題を変えた。
変えたかった。
話題を考えた。
頭にフッと過ぎった事を口にした。
「そー言えば、お母さんもパパも、本当のお父さんも、うちの学校の卒業生だよ。」
しかし、余り相手にされていないようだった。
「まぁ。偶然ね。」