カタチのないセカイの為に
「ああ。
いくらでも、頑張るよ。
帰って来たら、謝るよ。
嫌がる事をしたのは確かだから。」

健吾は、何も応えず本を読んでいた。
「しかしさぁ…
お前が、何で美咲って呼ぶんだよ!!」

「メンドクサイから…。」


「俺、本人の目の前じゃ、
恥ずかしくて呼べないのに…。」
優潤は、下を向いて呟いていた。

健吾は、
『美咲が関わると不器用なやつだなぁ。』と思い。本を読んでいた目線を、優潤へ向けた。
「美咲が眼を観て話す男は、お前くらいだぞ。」
と、教えてあげた。

優潤は、不思議そうに健吾を観た。
『そうなのか?』と思っているようだった。

優潤の顔が青からピンクに変わった瞬間だった。




優潤は時計の針の動きを見ていた。
「なぁ。2人、遅くないか?」
健吾も優潤の視線の先にある時計を見る。
駐車場で、別れてから既に4時間が経過していた。
「少し遅いなぁ。でも、話が長引いているかも知れないしなぁ。」





美咲と理子は、別荘に向かって歩いていた。
もう直ぐ、別荘に着くところだった。

その時、美咲たちの後を追うように、後ろの車の中から三人の視線があった。


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