カタチのないセカイの為に
「だから、俺らと君で、カラオケに。
なぁ、早く行こうよ。ここら辺に住んでんの?帰りは送るからさぁ。」

「行くわけないでしょ。見ず知らずのあんた達と。馬鹿じゃないの?」
美咲は、威勢のいい声を張り上げている。

「お前、言いたい放題だな。ふざけんなよ。」

理子は一瞬あっけに取られた。

美咲の言葉で、男達も怒り出している。


美咲は、三人の『いかにも柄の悪そうな男達』に絡まれていた。

その中の一人は、金髪。
理子は、その人に見覚えがあった。


確か…。海の家で、タンクを付け替えたばかりのビールの一杯目を出してしまった人だ。

デートしてくれたら、許すとか…。訳のわからない人だった気が…。



理子は、瞬時に状況を判断すると、美咲に近寄った。
「帰るわよ。」
「うん。」

美咲は、まるで何も無かった事のように、振る舞い、走って理子に近づこうとした。
しかし、二人の男が邪魔をして、美咲の道をふさぐ。


一人の金髪の男は、理子に近づいた。

「お。綺麗なねーちゃんも、俺らと一緒にカラオケ行こうぜ。」
「この間は、どーも。では、失礼します。」
「お。覚えててくれたのな。ここで会うのも運命だな。取り合えず、カラオケ行こうぜ。」

「ごめんなさい。今日は行けないわ。
予定があるのよ。」
理子は、頭を下げて、丁重にお断りをした。

金髪の男も、理子の言葉に納得したらしく、
「そうか…。残念だな。」
と呟くと、

「今度、一緒に遊ぼうよ。連絡するから携帯の番号教えて。」
と、連絡先を聞き出そうとしていた。

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