カタチのないセカイの為に
美咲は、緊張感が解けたのか、グルグルと目を回し、ヘトヘト腰を抜かし倒れそうになった。

彼は、男の胸倉に合った手を引き下げると、地面に着く寸前の低い場所で美咲を支えるように抱きかかえた。


美咲から、ブルブルと震えている振動が伝わってくる。
美咲は、彼のTシャツをギュッと掴んで、気を失っている。

理子が、心配そうに近寄ってくる。

「優潤、大丈夫?」

彼は、抱きかかえた美咲を確認するように観ながら、
「大丈夫だよ。」
と応えた。


優潤が、助けに来てくれた。


そして、彼は顔つきを変え鋭い視線で理子の後ろにいた金髪の男に向けられた。


「どういう事ですか?青木先輩。」


理子は、振り返った。

目の前には、冗談でも人相が良いとは言えない金髪の男が立っている。

「せ・せん・ぱいぃ?」

誰が先輩なのかわからないと言ったように、首を傾げた。


金髪の男は、頭をポリポリと引っ掻いている。

「あー。俺の事知ってたのか…。
この人達は、中学ん時の先輩で、車の免許取ったからって、遊びに来てたんだ。

こんな事、するつもりじゃなかったんだ。

ごめんな。

たまたま、海に行ったとき、理子さんのこと見つけて、話したいなぁ。って思ってさ。

もう一度、海へ来たんだけど、海の家にはいなかったからどうしょうかと思っていたら、さっき、たまたま見かけてさ。

付いて来たんだ…。」



理子は、『はぁ?』何言ってるの?全然知らない人なのですが?と言った顔で金髪の男を見上げた。
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