カタチのないセカイの為に
優潤は、理子の言葉を聞いて、鼻で笑った。


「話しかけれないんじゃ、
友達じゃないんじゃないか?」

理子は、『ツン』として呟いた。
「美咲への罰よ。」

優潤は、苦しそうに笑った。

美咲の気を失わせるほどの事をした光也達に、腹を立てていたが、
『話したいなぁ』と言った光也の気持ちが、
数日前の、自分を思い出させた。






優潤は、別荘に着くと、美咲をベッドまで運んだ。

『トントン…』

美咲の部屋のドアが叩かれた。

美咲の部屋にいた優潤が、とっさに応えた。

「はーい。」
「持ってきたぞ。」

健吾が、優潤の新しいTシャツを持って部屋に入ってきた。

「さっきまで、気まずい雰囲気だったのに、結構、信用されてんじゃん。」


優潤は、着ていたTシャツを脱ぎ始めた。

「信用されてるっていうよりも、
『おぼれる物は藁をも掴む』って感じだったな。流れに抵抗して、取り合えず掴んだって感じかなぁ…。」


健吾は、Tシャツから捲られ出て来た肌を観ると『パシン』と掌で、打った。
「いてぇ。」



「藁でもないかもよ。
しっかり助けて帰って来たんだし、根っこのある雑草くらいには、なれてんのかもな。」

健吾は、ニヤリと薄笑いをしクルリと方向を変えた。

「晩飯だってさ。先行くぞ。」
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