カタチのないセカイの為に
美咲は握っていた左手を開け閉めしては、手に残っている爪あとを見てから、
優潤のTシャツを丁寧に畳んだ。


「優潤、まだ起きてる?」


「起きてるわ。
今、呼んでくるから、タマゴサンド食べちゃいな。私も、疲れたから寝るわね。」


「あ。うん…。ありがと。
あの、理子?話も聞いてくれて、ありがとう。」
理子は、微笑すると部屋から出て行った。




美咲は、ベッドから足を下ろして、ベッドに座っている体勢に変えた。

ベッドの横にあるサイドテーブルに手を伸ばすとタマゴサンドの皿を手に取った。


お皿を膝の上に置くと、タマゴサンドを手に取って、顔の前に持ってきた。


美味しそうである。


ここへ着てから、管理人夫婦が作ってくれたご飯は沢山食べた。しかし、その他の外食以外の手作りを口にするのは初めてだった。


ぱくりと一口食べてみた。

ムシャムシャ…

しっとりとしていて
たまごの甘さも、丁度いい!!

美咲は、手の中にあるタマゴサンドを改めて観る。


これも、作ってくれたんだ。

至れり尽くせりだわ。
「美味しい。」
美咲は、呟いた。

手作りのタマゴサンドは
どこか懐かしい味がした。






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