カタチのないセカイの為に
パクパクと、タマゴサンドを食べていると、
『トントン…』と部屋のドアが叩かれた。
「俺だけど…。入っていい?」
優潤の声がした。
美咲は、何故か緊張した。
食べている手を止めて
一度咳払いをしてから、
「どうぞ。」
と返事をした。
『キィー』
ドアが開いた。
「あのさ。」
優潤が、先に言葉を掛けた。
『パタン』
ドアの閉まった音が聴こえる。
ドアの閉まる音で、美咲の緊張感が増す。
二人しか居ない空間に迷い込んだ気分になった。
緊張感を解すように、優潤の声が響いた。
「ごめん!!」
優潤が、頭を下げて立ちすくんでいた。
慌てて、美咲も頭を下げた。
「ごめんなさい!!」
優潤は、『え?』と戸惑った。
「普通、友達に腕を掴まれたくらいじゃ、怒らないよね。ごめんね。」
美咲は、頭を下げたまま伝えた。
優潤は美咲を観た。
ベッドに座ったまま頭を下げている。
『もし、男の人に話しかけられた時に、
いつも怒っているのが、
虚勢を張っているのだとしたら…。』