カタチのないセカイの為に
優潤は、美咲の横のベッドの下にあぐらを掻いて座った。

『男に虚勢を張っているのなら、
男が恐いと言うことになる。
何か、恐い過去や思い出が…?』



深呼吸を一つして、


彼女を下から覗き込んだ。


「僕のこと…。嫌い?」


美咲は、
頭も目線も下げたまま頭を左右に振った。


「僕のこと…。恐い?」


美咲は、もう一度、頭を左右に振る。

優潤は、
視線の合わない美咲の目を観た。



「怖いときは言って。
嫌な事はしたくないから。」



美咲の顔が、少しずつ赤くなった。

美咲は、泣いているような顔だった。


今にも、涙がこぼれそうだった。


美咲は、なぜ涙が溢れそうになるのかさえ分からなかった。

今まで、言われていたのは、

怖がるな。

脅えるな。

努力しようね。

頑張れ。


その中には、強制的な言葉も、優しいく応援してくれる言葉も沢山あったけど、『コワイ』を受け止めてくれる、認めてくれる言葉は無かった。




本当に欲しかった言葉。


しかし、美咲は心の奥が本当に欲しがっていた言葉に今も気付いていなかった。


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