カタチのないセカイの為に
美咲は、必死で瞳から出てくる水滴を堪えようとしている。


彼女は、涙が落ちないように、呼吸に合わせて声を出した。


「怖く…ない……。」


それは、何かを思い出し、そのシコリが少しだけ溶けようとしていた瞬間だった。


美咲の瞳から必死に堪えていた水滴が流れ、膝に置かれていた食べかけのタマゴサンドに落ちた。


優潤は、そっと立ち上がって、美咲の膝の上にある皿を持ち上げると、サイドテーブルに移動し、美咲の隣に座った。



優潤は、美咲が恐がらないように、
優しくゆっくりと美咲の頭を何度も撫でた。

「泣いて、いんだよ。」


美咲は、水滴がこぼれる瞳に手を当てて下を向いたまま
優潤の方へそっと近寄った。

優潤の胸に美咲の肩が当たると、
優潤は、美咲の頭を撫でていた手で胸へ軽く押した。その手は、首筋を通り、優潤から遠い方の肩にたどり着いた。


もう一方の手を、腰に当てた。


美咲の涙は、どんどん溢れてくる。



同時に美咲の体重も重力に従うように、横向きに掛けられ、二人はゆっくりとベッドに倒れた。



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