カタチのないセカイの為に
美咲は、優潤の腕を引き離そうともがくが、重くて退かす事が出来ない。


その時、優潤の腕に力が込められ、美咲はコロンと優潤の胸へと一気に引き寄せられた。

『く、苦しい…』

そして重かった腕が、一瞬軽くなったかと思うと、また直ぐに重さが掛けられ、優潤の手が美咲の頭を撫でた。


「んー…。だいじょう…らよ…。ん…うーん。だい…じょう…ぶ……」


優潤は、完全に寝ぼけている。


次の瞬間、重かった腕が軽くなり、美咲の頭上へ行ったかと思うと、ねぼけまなこをこすり始めた。

美咲は、不思議な生態を観察するかのようにボーっと優潤の行動をみつめた。

一瞬、目が合ったかと思うと、不思議な生態は、日本語を話した。

「ん。おはよう。」


美咲は、飄々たる様に呆気に取られた。




美咲は、起き上がり、ベッドから足を出して下ろした。


美咲は、昨日の洋服のままだった。
「私、このまま寝ちゃったんだ。」
と呟く。



辺りを見回した。


理子の別荘の、私の部屋。

朝の日差しが、カーテンの隙間から差し込む。


サイドテーブルには、
優潤が作った食べかけのタマゴサンド。


昨日の昼間優潤が着ていたＴシャツが、ベッドの端に置いてある。

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