カタチのないセカイの為に
昨日の昼間、優潤が着ていた服に視線を動かした。


二度も、同じような事を…。



自分が情けなくなるような気分だった。



昨晩、自分が泣いた事の意味さえも理解できない。

『怖いときは言って。
嫌な事はしたくないから。』


誰も、言ってくれなかった言葉。

ただ、優潤の優しい言葉を掛けられて泣いていた。




「ごめんなさい。」

美咲は、自分が泣いてしまった事。
優潤の伸びてしまったシャツ。

迷惑を掛けた事に

素直に謝った。



優潤の手が美咲の頭に置かれた。

「今日は予定いっぱいだけど、大丈夫?」
美咲は、頭の上に置かれた手にドキドキしながら、心臓の音が気付かれないように目線を逸らした。


「大丈夫。ありがとう。」


優潤は、微笑を浮かべるとベッドを降りて部屋を出て行った。






隣の部屋では────
歯ブラシを口にくわえたままの忠君と、
パジャマ姿の理子が、
コップを片手に壁にへばり付いていた。

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