カタチのないセカイの為に
「聴こえないじゃない。」

「お嬢様。先程の音は何だったのですか?
そろそろ、教えてくださいよ。」

「あーうるさいわよ。少し静かになさい。」


隣の様子を伺っていたが、どうやら聴こえないらしい…。




すると、理子の部屋の扉が空いた。

「なにしてんの?」

「優潤が、美咲の部屋にいるのよ。」

「もう居ないよ。」

『え?』
理子が、振り向くと優潤が立っていた。
『あ…。』


「隣の声。聴こえた?」


理子は質問を質問で返す。

「昨日は、お泊り?
変な事してないでしょうね。」



「あ。多分…。」


優潤は、昨晩、どさくさに紛れて、美咲のブラのホックを外しそうになった事を思い出した。


思い出すと、急に美咲の背中を触った片方の手がジーンと熱くなった。


「多分??それ、どっちなのよ。」



理子の質問も優潤の耳には入ってこない。



優潤は、熱くなった。手を見つめた。
『怖いときは言って。
嫌な事はしたくないから。』


自分の言った言葉を思い出す。

抵抗できない好きな子に、何をしょうとしてたんだ。


「俺、悪い事したかも。」
呟きながら、部屋を出て行った。

理子は、首を傾げた。

聞き耳を立てていた事に怒られるかと
思っていたのだが…。

怒られる事も無く…。


一体何をしに来たのか、
サッパリ解らなかった。


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