カタチのないセカイの為に
健吾が応えた。
「俺は、牛。」



優潤は、額に手を当てた。

「おまえなぁ。ブランド牛があるからって、
まさか、明日買うなんて一人だけ単品行動する気か?
明日の昼には帰るんだぞ。」

健吾は、真顔で応えた。

「大丈夫だ。
昨日の夜、ネットで注文しといた。
数日で、みんなの家に届くぞ。」


「牛のまま、送られても迷惑だぞ。」
優潤の意地悪な応対にも、

「大丈夫だ。安心しろ。
ちゃんと食用になってるから。」
と、健吾は平然と応える。


食べたくないのだろうか?

理子と優潤は、額に手を当てていた。


そんなやり取りを見て、
美咲の頭の上には
沢山の???マークが浮かんでいた。

何故、皆が思いつめたように額に手を当てているのか、理解不能だった。
「うちにも肉届く?」


「勿論だよ♪」

今や、健吾の頭の中には牛しか描かれていない事は言うまでも無い。



美咲は、素直に喜んだ。

「ありがとう!!」


車を降りると、
美咲と理子はサブレーを買いに行った。

店内に入ると、
甘くて美味しそうなにおいが漂っている。

二人は、家のお土産と、
今、食べ歩きする分も、
しっかり4人分購入してお店を出た。


< 85 / 248 >

この作品をシェア

pagetop