カタチのないセカイの為に
「夏休みになったら、
遠くから見ることも出来なくなっちゃうだろ。
だから、何処かでバッタリ会えたらいいなぁ。ってさぁ。」

「え?美咲の事、好きなの?」

「うん。」

頬を赤く染めてはいたが、
サラリと『うん』と応える優潤に、
理子は少し戸惑った。




優潤とは、幼馴染で、小さい頃は毎日のように、遊んでいる時もあった。

しかし、成長していくと、優潤は男の子の友達と、理子は女の子の友達と遊ぶようになり、
少しずつ、距離が出来てきた。

だから、最後に話をしたのは、同じクラスだった小学生の頃で、本当に久しぶりの会話だった。


中学の時は、クラスも別々で、特に付き合いが無く、話す用事も無かったので、喋る事は無かった。



彼は、決してモテない訳ではなかった。


どちらかと言うと、男女問わず人気のある人で、女子の中には、優潤の事を好きな人も多かった。


理子が、中学生だったのある日の事。

スタイルも顔立ちも素敵な、
『大人のイイ女』が、
校門の前に車を止めて誰かを待っていた。


「校門に、綺麗なお姉さまがいるぞ!!」


授業の終わったばかりの生徒達が、
物珍しさに、次々と昇降口やら校門の見える窓やら、近寄る。


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