カタチのないセカイの為に
しかし、彼の『人気者』の地位だけは、
どんな噂が流れても、保っていた気がする。

きっと、小学生の幼い頃から、
彼の事を知っている人が、
9割を占めていたからだろう。


小学生の彼は、良い印象だった。

だから、彼にとって、エスカレーター校はプラスに動いていた。


人の印象は、なかなか変わらないものである。



そして、
優潤は同じ学校の生徒には、
決して手を出さなかった。
藍泉学院の生徒で、告白した人は、
全員が振られた。


理由は、皆同じだった。
「好きな人がいるから…。」


生徒達の間では、
自分達が、見た事のある人や知っている人達で、噂を流したいのか、
『本命は、校門で待っていた事のある二人のうちのどちらかだ!』
と言う噂が流れてもいたが、

実際ところ、噂は噂。



彼の気持ちを大切に思っている友達が、
『本命はどちらかだ!』
そんな陥れるような噂を流すはずも無く、
彼の気持ちも真実も解らなかった。


彼に告白した人からの噂で分かったのは、
本命は、優潤にとって『とても大切な人』だ
という事だけだった。


だから、本命以外は、『遊び』
周りの認識は、そんな感じだった。


話をしたら妊娠する。
好きになったら捨てられる。などなど…。

同時に頓珍漢な噂話も
沢山、沢山、広がっていた。


『人気者』の噂は、流れる量も多かった。

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