カタチのないセカイの為に
休み時間になると、優潤の視線を感じ、
移動教室もトイレに行く時も…。

優潤のクラスが自習の時だって、
目線を感じた。

廊下で先生に怒られている時もあった。



いつも、美咲と一緒に居るので、
理子に話し掛けて来る事は余り無かったが、

美咲が、日直の日は
黒板を消しに行っている休み時間の短い間に、ズカズカと、隣のクラスの優潤が入って来た。

「話があるんだよ。
お願いだから、時間作ってくれよ。」

「嫌よ。自分で何とかしたら?
でも、私が、親友の為に全力で阻止するし、
凄く、難しいと思うけどね。」

理子の、綺麗な顔には不気味な笑顔があった。


「俺さぁ。入学式に…。」
優潤は、言い掛けて言葉を止めた。


美咲が黒板を消し終わるのを、
確認した瞬間だった。

美咲と理子は、
休み時間も一緒に居る事が多い。
それを、毎日毎日、理子に視線を送りに来る、優潤が知らないわけが無い。

知らない人と話をしている友達に
近寄りがたくなってしまうだろう。とでも
思ったのか…?

「また来る。」
と告げると、教室を出て行った。

どちらにしても、美咲に対しての気遣いなのだという事を、理子は感じ取った。


そして、次の休み時間までは、休戦…。



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