カタチのないセカイの為に
深呼吸をして、息を整えると、

戸惑いながらも、優潤は話を始めた。
「あー。うん。えっと…。
昔の事だから、
理子は覚えていないかも知れないけど、
理子も江藤さんに、昔会ったことあるんだよ。」

とっとと帰る予定をしていた理子だったが、

優潤の方が一枚上手だったようだ。

だって。
今、現在、親友の美咲に、
何処で会ったのか凄く気になってしまった。

でも、早く話を終わらせる為には、
質問なんて、御法度である…。

しかし、親友の美咲と私が
昔あったことがあるなんて、
知らない。覚えてない。

気になる。気になる。気になる。

「いつ?何処で?」

理子の予定に無かった『質問』を、
一気に二つもしてしまった。



優潤が、小さな子供だった時、
初めて出会った時の事を、
思い出しながら話した。

それは、優潤が5歳の時の話だった。
理子が優潤と初めて会ったのもこの頃。


理子も、言われるまで全く気付いていなかった、頭の中の記憶を必死で探す。
『ミサ…ミサ…ミサ……』

昔の事を思い出し始めた。

『ん? みさちゃん…?』



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