カタチのないセカイの為に
(昔話)
優潤が、海の側の別荘に別宅として
住んでいた時の事。

優潤の昔話に導かれるかのように、
理子が4歳の時の思い出が蘇ってくる。


理子はその頃、子供ながらにマナーやピアノ、水泳、語学、絵画などと、勉強付けやの日々を送っていた。


ある時、毎年、夏になると行っていた別荘に遊びに行った時の話。

父と母が連れて行ってくれた別荘の近くのお屋敷で、食事会があると言われ出掛けた。

そこで、両親の旧友だという女の人とその息子、それから人組の夫婦とその娘にあった。

それが優潤と、優潤の友達だと言う
ミサという女の子だった。

優潤は、大人達の前では、表情は暗く、ただ丁寧に挨拶していた。




優潤は、昔話を進めた。


大好きだった両親。
しかし、仕事が忙しくて
ほとんど家には居なかった事。
教育に厳しかった、父方の祖父母の事。

祖父母が守ってきた会社の跡取りとして、教育されていた事。


仲の良い『友達』がいなかった事。

笑顔を浮かべる人が周りに居なかったからか、笑う事を知らなかった事。

子供のような無邪気さや笑顔がない事。

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