カタチのないセカイの為に
(カフェ)
理子は、驚きの余り、
カフェであることを忘れ、声を張り上げた。
「あの時の『みさちゃん』って、まさか…。
美咲ぁぁ????」
優潤は、微笑した。
「そうだよ。」
それは、理子が本当に小さかった頃の話。
理子が4歳の時の話だった。
「俺さぁ。あの時からみさちゃんが、
好きだったんだ。
でも、名字も変わって、所在も解らなかったし、諦めていたんだけど…
今年の冬うちの入学試験の合格発表の時、見かけてさぁ。調べたんだ。
間違いなく、みさちゃんだよ。」
理子は、びっくりした表情だったが、
口調は淡々と語った。
「美咲が『みさちゃん』だったとは、気付かなかったわ。
でも、大切な友達をアンタなんかと、くっついて欲しくないわ。
それに、美咲が『みさちゃん』であっても、
違っていても…。
美咲は私の親友には変わりないんだから、
紹介するのは、嫌だし、無理よ。
とにかく、私を追い掛け回すのは、
やめてちょうだい。」
(現在に戻る。)
「理子ぉ。ごめん。遅くなっちゃって、
お漬物買ったよぅ。次の店、行こう。」
美咲と優潤が、店の前に居た理子と健吾に近寄ってきた。