Sweet Style ―恋セヨオトメ―
カンチガイ
ここは教官室。
担当科目が同じ先生が集まる職員室、と言ったところ。
他の先生方は放課後ということもあり。
部活やら会議やらでここには私しかいなかった。
…いや、正確に言うと“先生は”私しかいない。
もう一人。
この部屋には生徒がいる。
「んー、なるほどね」
奥のスペースで雑誌を開きながら。
一人で納得して、一人で頷いてるのは。
楓だ。
なぜか楓がこの部屋にいる。
「…ねぇ」
「んー?」
「そこで何してるの?」
「勉強」
勉強?
私には雑誌を読んでるようにしか見えないんだけどね。
楓がここで。
何をしてるのか、何をしたいのか。
さっぱりわからない。
私の問いにも雑誌から目を離さない楓に。
私はため息を吐いた。