Sweet Style ―恋セヨオトメ―
「ちょっ…!!」
なんで!?
なんでこんな近くにくるわけ!?
ここ、学校だってわかってんの!?
「二宮くんッ!?」
「しーッ…」
「しーじゃないッ!!」
焦る私に楓はゆっくり手を伸ばしてくる。
その手はそっと、私の頬に触れた。
「千遥…」
私より頭ひとつ分背の高い楓が。
少し腰を屈めて視線を合わせる。
楓の視線は私まで真っ直ぐに。
まるで鎖がグルグルと巻き付いてくるように。
私の動きを止め。
私の心臓に絡まり、キュッと締めつけた。
トクン、トクンと小さく波を打っていた胸の奥が。
ドクン、ドクンとざわつき始める。
どうしよう。
動けない。
いけないってわかってるのに。
動けない。