Sweet Style ―恋セヨオトメ―
少しだけ赤いその指先。
その赤みは。
確かに私の唇に触れたという証拠。
その証拠を見せられて。
ドクン、と心臓が跳ねる。
でも。
楓の指先に乗ってる赤さに違和感を感じた。
…なにか違う。
ちょっと待って?
これって…。
「……粉?」
「そ。チョークの粉」
楓の指先をほんのり赤く染めていたのは。
チョークの、粉…?
「なんでチョーク!?」
「知らない。
腹減りすぎてチョーク食っちゃったとか?」
「食べてないし!!」
それじゃまるで私が腹減らしみたいじゃないの!!
それに。
チョークは食べ物じゃないでしょーが!!
プイッ、とそっぽを向くと。
楓は「アハハ」と笑いながら。
指についたチョークの粉をはらった。