Sweet Style ―恋セヨオトメ―
千遥も千遥で。
俺の数学の成績知ってるはずなのに。
授業よりも丁寧に。
ゆっくり教えてくれる。
…若干、罪悪感を感じたりもするけどさ。
盗み見るように。
コッソリ千遥に視線を向けると。
千遥自身の教科書の隅に何やら書きこんでた。
長い睫毛は、頬に影を落としてる。
柔らかそうな頬は、色が白くて透き通ってる。
プルンとした唇は、ほんの少しの隙間が俺を誘ってる。
「…あー、キスしてぇ」
「なっ …!?」
いけねぇ。
うっかり願望が言葉に出ちまった。