Sweet Style ―恋セヨオトメ―
引っ張られたせいで。
グッと近くなったヤツとの距離に。
私の心臓がドクンッと波を打つ。
それを知ってか知らずか。
ヤツは指に巻いたままの私の髪を弄りながら。
顔を覗き込んできた。
「…あんまり俺のこと放っといて。
どっか行っちゃっても知らないよ…?」
そして。
もう一度意地悪そうに唇の端っこを持ち上げると。
ゆっくりと耳元に唇を寄せ。
そのまま…。
「ひゃッ!?」
チュッ、と。
小さなリップ音が直接耳に響いてきた。
い、い、い…。
今、コイツ…ッ!!
私は耳を押さえると。
慌ててヤツと距離をとった。