お話の館
――カツ カツ カツ――――
誰かが近付いてくる足音だ。
恐怖は勿論のこと
不思議と興味も沸いてくるものだ。
音の方へ顔を向けてみると
人影と共に声が聞こえてきた。
「あら、あなた迷い混んだの?」
その声の主はまるで
フランス人形のような綺麗な
顔立ちの女性が微笑んで立っていた。
「いや、あの…
気が付いたらここに立っていて…」
わたしはそのままを説明した。
「そう…。
なら夜が明けるまで休んだらどう?」
女性は『気が付いたら』という
ワードに不思議がることもなく
微笑みながら休むように勧めてきた。