こんなに好きなのに
「あっ!ヒロくんだ!!おっはよー」
朝から能天気に祐実が手を振りこちらへ来る。
来るな、なんて思いとは裏腹に
一歩ずつ近づく祐実にドキドキして腕の中に収めたくなった。
「久しぶり……だね!」
「う………うん」
「ヒロくん……」
「ん?何?」
さっきまで笑ってたのに急に暗くなって俯く。
「どうかした?」
「……」
「……彼氏とケンカでもしたのか?」
「違うよ、彼とは仲良し…」
"彼"ねぇ………
「じゃあ何?どうしたの?」
イライラしてきた、
「ヒロくん、なんか冷たいよ…最近」
「はは……そんなことか」
「"そんなこと"!?何それ?私いっぱい悩んだんだからね!!!」
怒った顔は一瞬にして泣き顔に変わった。
「なんで"そんなこと"でお前が悩むんだよ…」
「また"そんなこと"って言う……」
「もう……泣くなよ」
人の女になったお前の涙を拭いてやる事も出来ないし抱きしめる事も出来ないんだよ。
辛いんだよ、俺……