こんなに好きなのに
帰り道によく通る
薄汚れたビルが立ち並ぶ不気味な道がある。
昼間でもなんとなく暗いから夜になると何も見えないってほど暗い。
祐実にはこの道を通らせたくなくて安全な道を俺が探して、祐実に教えた。
自分はここが近道だからってよく通るけど……
そんな事を考えてたら
路地裏から女の悲鳴が聞こえた。
驚いて声のする方に目を凝らすけど何も見えなくて、行こうとしたけど声がだんだん近づいてくるから俺はその場を少し離れた。
一つある街灯の下へ出てきた男女二人はもめていた。
何を話しているかは俺の距離からじゃ聞こえないけど、男が女を罵っている様に見えた。
10分程そうしていた、俺は何かあったら警察を呼ぼうと思っていたからその場に待機していた。
それから少しして、
「二度と目の前に現れんなブス!!!」
男が女にそう吐き捨てると女を置いて去っていった。
「……酷いやつだな…」