こんなに好きなのに
俺も大声で泣きたい気持ちになった時にはもう
頬は涙で濡らされていた。
声を挙げる彼女とは対照的に
声を押し殺す俺。
周りからみたら今の俺たちかなり変だと思う、
もう何人もの人に見られ、笑われた。
だけど彼女は気にしてないみたいだし俺も気にせず泣き続けた。
「……なんで君が泣いてるの?」
さっきまで泣いていた彼女が少し笑いながら聞いてきた、
「…貴方が泣いてるの見てたら……すっごい泣きたくなった……」
「あれ?嘘!私のせい?あはは……ごめんね…」
その人の声はあまりにも綺麗で少し驚いた。
「……いや…でもスッキリしました…」
「あはは……」
少し話して、長い沈黙。
沈黙とか嫌いなんだけど、今はなんだか心地良い。
「…そろそろ帰った方がいいんじゃないですか?」
「んー……私はまだここにいる…」
「なんでですか?もう夜遅いですよ……」
チラッと携帯を確認すると今はもう夜の10時を回っていた。
俺らどんだけここに居たんだ……?
「……彼が戻ってきてくれる気がして…」
「え?」