偽物の国のアリス
カシャン
学校の屋上の、事故防止もしくは自殺防止のために設置された緑のフェンスを飛び越えて、校舎ぎりぎりに座り足を投げ出す。
ぶらぶらと足を揺らしながら、体育館やコートで放課後の部活動をしている音に耳を傾ける。
時折聞こえる話し声には、楽しそうに笑う声も混じっていて、なんだか嫉妬してしまいそうになる。
『・・・』
羨ましいなぁ。
私はこれから××ってゆーのに。
誰もいなくなった頃、フェンスを使ってゆっくりと立ち上がった。
しばらく座りすぎてお尻が痛いかも。
伸びをしてから、視線の先のコンクリートを覗き込むように見つめる。
結構高いな、何メートルくらいなんだろう・・・ざっと10mくらいかな?
ふう、と息を吐いて、うるさい程バクバクする心臓を落ち着かせる。
震えだす足に構わずに、空中に一歩踏み出す。
傾く体。
靡く髪。
今更流れてきた涙は、拭えなかった。