偽物の国のアリス
首をまわしてみると、見渡す限り木、木、木。
360°ぐるりと見回しても、同じように湿ったような木しかない。
森?
木陰が光を遮断してなんだか薄気味悪い森だ。
『私、なんでこんな所に・・・?』
死ぬ前に神様が夢でも見させてくれたりして。
もう少しいい夢を見させてくれてもいい気がしたけど、我が侭なんて言ってられないよね。
『・・・これが夢なら、少しでもいいから、私を幸せに・・・』
目を伏せ、祈るような体制で、誰に言うわけでもなく、ぽつりと願いを零す。
まぁ、神様なんていないんだけどね。
「幸せに、なりたいの?」