奇妙な関係 ~オスとワタシの奮闘記~
咄嗟に春ちゃんの顔を見ると、春ちゃんは口をポカーンと開けて固まっていた。


視線は桃花に注がれている。


驚き過ぎて頭の中真っ白。


見えてるんだよね?


カマかけられてるわけじゃないよね?


はぐらかす方がいいのか、認めちゃった方がいいのか……。



「は、春ちゃんです……」



はぐらかせるわけないじゃん!!


相手は桃花様だよ!?



「春ちゃん?」

「えと……フルネームは、……ごめん、何だっけ?」



春ちゃんに話をふったが何も答えない。


今だ固まっている。



「春ちゃんってば!!」

「あっ、え!? 何!?」

「名前!!」

「あ、名前ね!! 一之瀬 春彦です……」

「一之瀬? そう……一之瀬って言うの」

「桃花?」



一瞬何かを考えるような顔をした桃花。


でもすぐにいつもの顔に戻り、春ちゃんに顔を向けた。



「ずっと見えてたのかよ?」

「見えてたわよ。 貴方だけじゃなくて、他の方々も見えてるけれど……」

「え!? それって霊感があるって事!? 初耳なんだけどー!!」

「だって……気味が悪いでしょ? そういうの……」



綺麗な桃花の顔に影がさす。


きっと、過去に辛い思いをしたんだ……。





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